アプリケーションプロセッサ「SH-Mobileシリーズ」で、地上デジタル放送対応の製品ラインアップを強化
2007/09/25ルネサス テクノロジ
プロセッサ/メモリ
― 画質向上機能搭載版と、小型パッケージ版の2品種により、
地上デジタル放送対応携帯電話のソリューションを提供 ―
株式会社ルネサス テクノロジ(本社: 東京都千代田区、会長&CEO: 伊藤 達)は、このたび、携帯電話向けのアプリケーションプロセッサ「SH-Mobile(注1)シリーズ」における地上デジタル放送対応の製品ラインアップ強化として、画質向上機能と低消費電力化を強化した「SH-MobileL3V2 (製品名:SH7362)」、ならびに携帯電話の普及モデル向けの小型パッケージでコストパフォーマンスに優れた「SH-MobileUL (製品名:SH7363)」の2品種を製品化しました。2007年10月からサンプル出荷を開始します。
本2製品は、当社従来製品の「SH-MobileL3V(製品名:SH7354)」の機能を強化、あるいは特化した製品です。本2品種の特長は以下のとおりです。
(1) 共通の特長 1-1) 高性能で低消費電力のマルチ・コーデック動画像処理IPを搭載 日本の地上デジタル放送ISDB-T(注2)で採用されている動画像圧縮規格のH.264/MPEG-4 AVC(以下、H.264)に対応した高性能動画像処理IPのVPU(Video Processing Unit)を搭載しており、VGAサイズで30fps(frame per second)のエンコードおよびデコード性能を実現しています。本IPは、H.264だけでなく、MPEG-4のエンコード/デコード、VC-1のデコードにも対応しており、ビデオメールやTV電話、ムービー等の様々な動画アプリケーションに対応することができます。加えて、海外の地上デジタル放送である欧州のDVB-H(注3)や韓国のDMB(注4)等の方式にも対応可能です。
1-2) 266MHz動作の高性能CPUコア「SH4AL-DSP」を搭載 最大動作周波数266MHzで478MIPS(million instructions per second)の高処理性能を実現しているCPUコア「SH4AL-DSP」を搭載しており、様々なアプリケーションを高速に処理することができます。
(2) 「SH-MobileL3V2」の特長 本製品は、画質向上機能を搭載して機能向上しながらも低消費電力化を図った製品です。
2-1) 多彩で高品質な映像表示を実現する高画質化機能を搭載 新規に、ガンマ補正機能や拡大エッジ強調機能の高画質化機能を搭載しています。ガンマ補正機能は、①ヒストグラム伸張型ガンマ補正、②画面輝度対応型ガンマ補正、③適応型彩度補正の3種類を搭載し、テレビのシーンごとに画質の調整が可能なため、見やすく高画質な映像表示を実現できます。また、拡大エッジ強調機能は、QVGAサイズの画像をVGAやWVGAサイズに拡大した際に画像がぼやけることを防ぐ機能で、エッジ部分の強調やドット間の補正、フィルタによるノイズ除去を行います。これらの機能により、多彩で高品質な映像表示が可能になり、携帯電話で高画質の地上デジタル放送を楽しむことができます。
2-2) 低消費電力化に貢献するハードウェアのオーディオ専用DSPを搭載 オーディオ処理用に、ハードウェアの24ビットオーディオ専用DSPを搭載しており、圧縮方式がAAC(Advanced Audio Coding)やMP3などのオーディオ処理も余裕を持って対応できます。また、地上デジタル放送で採用されているオーディオ圧縮方式のaacPlusの処理には、これまでCPU処理量が約50MHz程度必要でしたが、オーディオ専用DSPにより、CPUでの処理は不要になります。専用ハードウェアで処理することで、従来製品に比べて消費電流が低減し、TV視聴の長時間化に寄与します。
(3) 「SH-MobileUL」の特長 本製品は、地上デジタル放送対応に特化して周辺機能を絞り込んで最適化、かつ8mm×8mmの小型パッケージを採用した、機能と価格のコストパフォーマンスに優れた製品です。小型パッケージの採用により、実装面積を当社従来製品と比較して約30%以上削減することが可能です。本製品は、携帯電話の地上デジタル放送対応機能を搭載する普及モデルに最適であり、携帯電話の低価格化に貢献します。
<製品化の背景>
近年、地上デジタル放送に対応した携帯電話等の携帯情報機器が飛躍的に増加しています。当社は、携帯電話システムで、アプリケーション処理を専用に行うLSIを、「SH-Mobileシリーズ」として世界に先駆けて製品化し、携帯電話におけるマルチメディア・アプリケーションの進化に貢献してきました。そして、地上デジタル放送対応の携帯電話向け「SH-Mobileシリーズ」もいち早く製品化し、多くの携帯電話システムに採用されています。今後、地上デジタル放送対応携帯電話は、ますます普及、加速する傾向にあり、市場ニーズとしては、携帯電話システムのより低価格化の実現の他、より高品質で視聴を楽しめるなどの高付加価値製品の実現等があります。当社は、今回、このようなニーズに対応するため、当社既存製品の「SH-MobileL3V」をベースに、優れた高画質化機能を搭載した「SH-MobileL3V2」と、地上デジタル放送対応に必要な機能の最適化により、小型のコストパフォーマンスに優れた「SH-MobileUL」を製品化しました。
<製品の補足>
本2製品は、いずれも、高性能な動画像処理IPであるVPUと高性能なCPUコア「SH4AL-DSP」を搭載しています。
VPUは、地上デジタル放送で採用されているH.264と、ムービーやTV電話等で使用されているMPEG-4の両動画像圧縮規格に対応し、低消費電力で高速なエンコード/デコード処理を実現しています。このため、VPUでH.264の動画データを処理している時は、CPUは他の処理を行え、周波数を低く抑えることができるため、低消費電力化を実現しています。CPUコアは、最大動作周波数が266MHzで、478MIPSの高処理性能であり、単位周波数当たりの性能は1.8MIPS/MHzを実現しています。これにより、地上デジタル放送対応のブラウザも快適な動作をさせることができます。
「SH-MobileL3V2」は、地上デジタル放送をより高画質で長時間視聴を可能にします。ガンマ補正機能や拡大エッジ強調機能等の画質を向上する高画質化機能を搭載しており、携帯電話で、より高品質の地上デジタル放送の表示を実現することが可能です。
さらに、ハードウェアの24ビットオーディオ専用DSPを搭載しています。オーディオ処理をハードウェアで行うことによってCPUの処理負荷を低減できるため、さらなる低消費電力化を図れ、TV視聴の長時間化を可能にします。
その他、500万画素のカメラモジュールを直結接続可能なカメラインタフェースを搭載しています。これにより、高精細カメラの大容量画像データを高速に取り込んで、画像の電子ズーム表示、OSD(オンスクリーンディスプレイ)機能やHWC(ハードウェアカーソル)機能などによる画面の重ね表示等の多彩な表示が可能です。さらにワンセグ放送対応として、BT.709形式のYUVデータに対応しています。これにより、画質を劣化させることなく、TV放送のデータを切り出してJPEG画像に変換することが可能です。その他、24ビット対応のTFTカラー液晶パネル対応LCDコントローラやSDメモリカード(注5)インタフェース、SIMカードインタフェース、サウンドインタフェース等の携帯電話システムに適した豊富な周辺機能を搭載しています。
「SH-MobileUL」は、携帯機器の地上デジタル対応機能に特化したコストパフォーマンスに優れた製品です。「SH-MobileL3V2」と同じ動画像エンジンと高性能CPUコアを搭載しながらも、周辺機能を地上デジタル対応に最適化し、かつピン数の削減により小型化を図って、コストパフォーマンスを追求した製品です。
「SH-MobileL3V2」は281ピンBGAパッケージ(9mm×11mm、0.5mm ピンピッチ)を、また「SH-MobileUL」は小型の224ピンBGAパッケージ(8mm×8mm、0.5mm ピンピッチ)を採用しています。また、「SH-MobileL3V2」は256MビットSDRAM、「SH-MobileUL」は128MビットSDRAMを、SiP(System in Package)として搭載しており、コンパクトな実装が可能です。
尚、当社は、本製品を、10月2日から幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2007(シーテックジャパン2007)」で展示致します。
今後も携帯電話におけるさらなるマルチメディア・アプリケーションの進化や高度化に合わせた「SH-Mobileシリーズ」の製品を開発し、市場ニーズに即した最適な製品をタイムリーに市場に投入していきます。
■ 注記 (注 1) SH-Mobile (SuperHTM Mobile Application Processor): 携帯電話システム向けに、ベースバンドLSIと接続して、オーディオや動画などのマルチメディア・アプリケーションを専用に処理する当社独自のプロセッサ。
SuperHは、(株)ルネサス テクノロジの商標です。
(注 2) ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting - Terrestrial): 日本で開発された地上デジタルテレビ放送規格。携帯電話などの移動体向け放送は、ISDB-Tの全13セグメントのうち1セグメントを使用し、ワンセグ放送と呼ばれている。
(注 3) DVB-H(Digital Video Broadcast for Handhelds): 欧州で開発されたデジタルテレビ放送規格(DVB)の移動体向け規格。
(注 4) DMB(Digital Multimedia Broadcasting): 韓国で開発された移動体向けデジタルテレビ放送規格で地上波(Terrestrial)の地上波DMB(T-DMB)と、衛星(Satellite)の衛星DMB (S-DMB)がある。
(注 5) SDメモリカードは、3C(松下電器産業株式会社、株式会社東芝、SanDisk Corporation)で原型規格化、SDA(SD Card Association)にて発展的に拡張規格化されている小型メモリカードです。
* その他記載の製品名、会社名、ブランドは、それぞれの所有者に帰属します。
■ 応用機器例マルチメディア・アプリケーションを搭載する携帯電話端末
■ お客様からの問い合わせ先
株式会社ルネサス テクノロジ 汎用製品統括本部 パワー・電源IC事業部 製品技術部
〒100-0004 東京都千代田区大手町二丁目6番2号 (日本ビル)
電話 03(5201)5256 (ダイヤルイン)
[
Webでの問合せ ]
以 上
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企業HP:
http://japan.renesas.com/
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