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車載情報端末向けSoC「SH7770」用の高性能描画ソフトウェア「MAPGLグラフィックスソフトウェアエンジン」を提供開始

2007/01/25ルネサス テクノロジ  組み込みソフト開発

― ディスプレイリストの部分更新を可能にした機能などにより、
グラフィックスアプリケーションの処理性能を当社比で最大約50%向上 ―



株式会社ルネサス テクノロジ(本社: 東京都千代田区、会長&CEO 伊藤 達)は、このたび、次世代車載情報端末向け高性能SoC(システム・オン・チップ) 「SH7770(注1)」用の高性能描画ソフトウェア「MAPGL(注2)グラフィックスソフトウェアエンジン」を開発しました。2007年1月31日よりサンプル提供を開始します。
本ソフトウェアは、「SH7770」が内蔵している「グラフィックスエンジン」のハードウェア性能を最大限に引き出しており、高度で多彩なグラフィックスアプリケーションの高速な処理を実現できます。加えて、グラフィックスアプリケーションの開発期間を当社比で最大約1/3に短縮可能です。
主な特長は以下の通りです。

(1) グラフィックスアプリケーションの処理性能を当社比で約50%向上
「SH7770」のグラフィックスエンジンはディスプレイリスト(注3)方式の描画アーキテクチャを採用しています。
ディスプレイリスト方式の概要は以下のとおりです。

① CPUで描画処理の命令列を生成し、外部メモリにディスプレイリストとして格納。
② 描画時は、グラフィックスエンジンがディスプレイリストの内容を直接読み出し、描画処理を実行。

本ソフトウェアでは、地図の道路や建物、メニュー、アイコンなどを表現するディスプレイリストの部分更新を可能としました。
従来は、ディスプレイリストを部分的に更新できないため、表示内容が変化した時は、ディスプレイリストを再構築する必要がありましたが、本ソフトウェアでは、表示内容毎にディスプレイリストの構成要素を管理できるため、ディスプレイリストを部分的に更新することが可能です。これにより、表示画面の更新に伴う処理負荷を大幅に低減でき、高度で多彩なグラフィックスアプリケーションの処理性能を当社比で約50%向上可能です。

(2) 多彩な地図表示を実現するディスプレイリストを高速に生成
本ソフトウェアで生成するディスプレイリストは、地図描画の基本機能であるアンチエイリアス(注4)ラインに加えて、高倍率な都市地図を滑らかに表示するアンチエイリアス多角形などの他、メニュー画面やアイコン、文字などで必要となるアルファブレンディング(注5)付き矩形転送機能にも対応しています。
さらに本ソフトウェアでは、「SH7770」に搭載されている「SH-4A」CPUコアに処理を最適化しています。これにより、多彩な地図表示や多様な描画を実現するディスプレイリストを高速に生成します。

(3) 高度で多彩なグラフィックスアプリケーションの短期開発が可能
本ソフトウェアはグラフィックス処理の主要機能である2次元描画機能に加え、描画時に使用されるメモリ領域の管理機能や、描画結果を液晶パネルなどに表示するための表示制御機能など、グラフィックス処理で必須となる一連の機能を1つのパッケージにしています。ユーザは、本ソフトウェアが提供するAPI (Application Programming Interface)を使用することで、高機能かつ高性能なグラフィックスアプリケーションのプログラム作成が容易になります。これにより、グラフィックスアプリケーションの開発期間を当社比で約1/3に短縮でき、ユーザにおける短期間でのシステム開発に寄与します。

<製品化の背景>
カーナビゲーション機器(以下、カーナビ)の主要機能である地図表示は、より見やすく、多彩なグラフィックス表示に発展しています。さらに近年は、ナビゲーションの機能だけでなく、例えば携帯電話を経由して、各種情報をリアルタイムに取得して表示するなど、車載情報端末の機能は、カーナビを中心として急激な進化を続けています。このため、カーナビのグラフィックス機能は、より詳細かつリアルな表現を実現するためソフトウェアの規模が増大し、ますます複雑化する傾向にあります。このため今後のシステム開発においては、描画性能の向上だけでなく、ソフトウェアの生産性の向上が重要な課題となっています。
当社は、カーナビの市場において高いシェアをもっています。そして、これまで培ってきた高い技術力により、カーナビに必要な機能をほぼ1チップで実現する高性能SoC「SH7770」を製品化し、多くのシステムに採用されています。そして今回、ユーザが、「SH7770」を使用して、高機能かつ高性能なグラフィックスアプリケーションを、より短期間で開発できるソリューションを提供するため、「MAPGLグラフィックスソフトウェアエンジン」を開発しました。

<製品について>
本「MAPGLグラフィックスソフトウェアエンジン」は、車載情報端末向け高性能SoC「SH7770」用のソフトウェアです。グラフィックス処理で必要となる一連の機能をパッケージ化しており、「SH7770」を使用する車載情報端末の高性能なグラフィックスシステムの開発が容易です。
2次元描画機能としては、ラインや多角形などの基本図形に加え、アンチエイリアスライン、アンチエイリアス多角形、アルファブレンディング付き矩形転送機能など多彩な地図表示を実現する描画機能をサポートしています。
また本ソフトウェアは、グラフィックスシステムの開発に有効な機能を備えています。これまで、OS(Operating System)によって、グラフィックスのメモリ管理や表示制御の機能が提供されない時は、ユーザが複雑なプログラムを作成する必要がありました。しかし、本ソフトウェアでは、グラフィックス処理に必要な一連の機能を提供しています。メモリ管理機能は、描画時に使用されるメモリ領域の確保や解放をサポートします。さらに本ソフトウェアでは、描画結果を液晶パネルなどの表示機器へ表示するための表示制御機能もサポートしています。これにより、ユーザは、アプリケーションの開発に専念することができ、短期間でのシステム開発を実現可能です。
今後、更なる車載情報端末の進化にともなった様々なグラフィックスアプリケーションに対応し、かつユーザの開発効率向上に貢献するソフトウェア製品をタイムリーに提供していきます。

■ 注記

(注 1) SH7770: 当社の32ビットRISCマイコンSuperHファミリのCPUコア「SH-4A」を搭載。最大動作周波数が400MHzで720MIPS(million instructions per second)の高処理性能、また、カーナビに適した2D/3Dグラフィックスエンジンなど50以上の周辺モジュールを搭載した車載情報端末向け高性能SoC。
SuperHは、(株)ルネサス テクノロジの商標です。

(注 2) MAPGL: MAP drawing Graphics Libraryの略。

(注 3) ディスプレイリスト: ライン、多角形などの描画コマンドの集合体。

(注 4) アンチエイリス: ラインや図形の輪郭のジャギー(ぎざぎざ)を低減し、滑らかにきれい に見せる手法。

(注 5) アルファブレンディング: 2つの画像を、透明度を表すアルファ値を使って合成する手法。

■ 応用機器例

* 車載情報端末: 「SH7770」を使用するカーナビゲーション機器などの車載情報端末システム

■ お客様からの問い合わせ先
株式会社ルネサス テクノロジ システムソリューション統括本部
自動車事業部 自動車応用技術第二部
〒100-0004 東京都千代田区大手町二丁目6番2号(日本ビル)
電話 03(5201)2952 (ダイヤルイン)
[ Webでの問合せ ]

以 上


*** このニュースリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。 ***
*** 発表日以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。 ***


企業HP:
http://japan.renesas.com/


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