45. ICパッケージの種類

代表的なICのパッケージの一覧です。IC選択時の参考にしてください。

端子方向 実装型 端子形状 代表的なイメージ 略称 正式名称 概要

1方向

挿入実装型

直線状

SIP

Single In-line Package

パッケージの長辺側一列にリードを垂直に配置し、高いプロファイルとなりますが、実装密度を上げることができます。ICだけでなくネットワーク抵抗などにも使われています。

SSIP

Shrink Single In-line Package

HSIP

Single In-line Package with Heatsink

交互に折り曲げ

ZIP

Zigzag In-line Package

片側から垂直に出たリードをシグザグ状に交互に折り曲げて配置していることからZIPとういう名称がつきました。SIPと類似していますが、リードをシグザグ状に加工することで、リードピッチを狭くすることができ、SIPに比べて横幅(長辺)を狭くすることが可能です。DRAM向けに実装密度を上げる為にDIPの置き換えとして開発されましたが、その後表面実装パッケージTSOPに取って替わられました。現在は一部アナログICで使われています。

SZIP

Shrink Zigzag In-line Package

2方向

挿入実装型

直線状

DIP

Dual In-line Package

DIPは1965年に発明され、ICの実装に適したことから1980年代までICパッケージの主流でした。その後、表面実装化のパッケージとしてPLCC及びSOICが開発され主流の座を譲りましたが、今でも汎用ロジック、EPROMなどの多くのICに使われています。パッケージ長辺の両側から下方向にリードが延びています。セラミックDIPはCerDIP( サーディップ)と呼ばれ、プラスチックのものはPDIP(ピーディップ)と表示されることもあります。

SDIP

Shrink Dual In-line Package

CDIP

Ceramic Dual In-line Package

WDIP

DIP with Window Package

表面実装型

L字型

SOP

Small Outline Package

表面実装パッケージの代表的なもので、幅広く使用されています。SOPは、DIPのリード間隔を半分にし、リードを表面実装向けに先端を外側へカモメの翼(Gull Wing)状に広げています。さらにパッケージの4方向からリードピンを出したものをQFPと呼びます。SOPの派生として、SSOP、TSOPなどが開発されています。SOPは別名SOICとも呼ばれますが、米国ではJEDEC仕様のものを中心にSOICと呼び、日本ではJEITA仕様のものを中心にSOPと呼ぶことが多く、前者はボディ幅が後者よりも大きく異なります。

SSOP

Shrink Small Outline Package

TSOP

Thin-Small Outline Package

TSSOP

Thin-Shrink Small Outline Package

MSOP

Mini( Micro) Small Outline Package

QSOP

Quarter Small Outline Package

SOIC

Small Outline Integrated Circuit

SOICW

Small Outline Integrated Circuit Wide

J字型

SOJ

Small Outline J-leaded package

DIPよりも基板上での占有面積を小さくするために開発されました。パッケージ長辺の両側からリードが出ており、先端がパッケージ本体を抱え込むように、内側に曲がっているタイプです。横断で見ると、リードが「J」のような形状をしているので、SOJと呼ばれています。曲げた部分にはんだを付けて表面実装します。DRAMでは256Kビット品から主流パッケージとして使われ、その後TSOPに置き換わりました。メモリ容量が比較的小さいです。一部のRAMなどに今でも使われています。

電極バッド

SON

Small Outline Non-leaded package

リードがなく、代わりに電極バッドが接続用の端子として用意されています。QFNは4方向に外部端子が配列されますが、SONは2方向タイプで低ピン数向けのパッケージとなります。

VSON

Very-thin Small Outline Non-leaded package

 

接触実装型

テープ、フィルム状

DTP

Dual Tape carrier Package

配線パターンを形成したテープにTAB(Tape Automated Bonding)技術でICチップを接続し樹脂を塗布したパッケージです。一般的にTABとも呼ばれます。多ピン化および、高密度実装に適したパッケージです。

4方向

表面実装型

L字型

QFP

Quad Flat Package

外形は四角形で、4辺からガルウイング状のリードがつき出してた形状です。材質はセラミックをエポキシ樹脂で封止するセラミック・パッケージや、溶かしたプラスチックを射出成形するものなどがあります。

TQFP

Thin Quad Flat Package

STQFP

Small Thin Quad Plastic Flat Package

FQFP

Fine-pich Quad Flat Package

HQFP

Quad Flat Package with Heat sink

LQFP

Low profi le Quad Flat Package

VQFP

Very-small Quad Flat Package

MQFP

Metric Quad Flat Package

J字型

QFJ

Quad Flat J-leaded package

QFPと同じように、パッケージの4辺から側面にリードが出ています。リードの先端は、SOJと同様、J字型のように内側に曲げられています。PLCCはPlasticのQFJのことで、JEITAのパッケージ・コードではPQFJに相当します。名称はLCCと似ていますが全く別物ですので、注意が必要です。

電極バッド

QFN

Quad Flat Non-leaded package

底面の4辺に電極パッドが並んでいます。底面だけに電極パッドがある場合と、側面から底面にかけて電極パッドが露出している場合があります。QFPに比べて実装面積が小さく、薄型化、高密度化が可能となります。LCCはセラミック表面に電極パッドを設け、リード線を出さないパッケージです。JEITAのパッケージ・コードではCQFNに相当します。

TQFN

Thin-Quad Flat No-Lead Plastic package

LCC

Leaded Chip Carrier

CLCC

ceramic leaded chip carrier

DFN

Dual Flat package

QFI

Quad Flat I-leaded package

接触実装型

テープ、フィルム状

QTP

Quad Tape-carrier Package

DTPと同様に配線パターンを形成したテープにTAB(Tape Automated Bonding)技術でICチップを接続し樹脂を塗布したパッケージです。一般的にTABとも呼ばれます。多ピン化および、高密度実装に適したパッケージです。

マトリックス

挿入実装型

針状

PGA

Pin Grid Array

パッケージの底面にピンをアレイ状に並べたものです。パッケージの材質によってセラミック製をCPGA(Ceramic-PGA)、プラスチック製をPPGA(Plastic-PGA)と呼ぶこともあります。パソコン向けCPUなどで採用されており、後述するBGAの登場までは高性能多ピン・パッケージの主力でした。現在では、プラスチックPGAはほとんど使われず、セラミックPGAが一部のハイエンド用途で使われています。SPGAはピンが千鳥状に配置されています。

SPGA

Staggered Pin Grid Array

表面実装型

はんだボール

BGA

Ball Grid Array

パッケージ底面に球形のはんだボールをアレイ状に並べて端子としたものです。ベア・チップとインターポーザの間はワイヤ・ボンディングやフリップチップ接続で繋げて樹脂で封止しています。多ピン化と高密度化を実現できます。フリップチップ接続の場合は「FCBGA」と表記するメーカがあります。QFPなどに比べると、プリント基板への実装不良が起こりにくく、実装作業も効率的に行えるという構造上の特長を持ちます。ただし、高い実装技術を要求されるため、修正、交換、検査、保守などが困難になります。

EBGA

Enhanced BGA

FTBGA

Flex Tape BGA

TFBGA

Thin & Fine-Pitch Ball Grid Array

電極バッド

LGA

Land Grid Array

パッケージの底面に銅などの電極パッドをアレイ状に並べて端子としたものです。端子の寄生インダクタンスが少ないため、高速・高周波動作に適しています。また、LGAはBGAと比べてはんだボールが無い分、取り付け高を低くできます。JEITA規格では外部端子の高さが0.1mm以下ですと、はんだボールを用いている場合でもLGAに分類されます。